木が伐れない樵の業務日誌

新潟県村上市にある民間の林業会社に勤めている30代男が林業についてつらつら書いてます。

生き物を生かすという生存戦略【<正義>の生物学を読んで】

出版になったばかりの「<正義>の生物学」という本をたまたま手に取ったのですが、とても面白かったので紹介します。 まずこの本の副題にもなっている「トキやパンダを絶滅から守るべきか」この問いかけに引き込まれた。本書のはじめにも”トキやパンダつま…

林業の仕事【番外編】

私は新潟県村上市にある民間の林業会社に勤めていますが、普段はどちらかというと現場よりも事務所にいる時間のほうが長く、毎日パソコンとにらめっこしている日々を送っています。 さて、皆さんは「林業ってなんでこんなに作らにゃいかん書類が多いんだ!」…

再造林できる環境を整える

なぜ再造林は進まないのでしょか?について最近よく考えます。 『持続的な~』という大きなゴールのためには避けては通れない課題ですし、思い切って主伐に踏み切れないのもここの問題がクリア出来ていないからなのではないでしょうか?素材生産量UPのキーは…

新型コロナの足音が聞こえてきた 林業はどうなる?

新型コロナウイルスが猛威を振るっておりますが、ニュースで流れているイタリアやアメリカの状況を見て「うわー怖えー」と言いつつもどこか他人事感がまだ拭えない私であります。 新潟県も割と感染者が多い方(3月29日11時現在で31人)ですが、私が住んでい…

伐った後、植えたくなる仕組みづくりについて考えてみる(機会損失という視点で再造林を見る)

普段、木を伐らせていただく山は小さい山林を所有している方の山が多い。 これまで何人もの所有者さんと立木売買や山の管理の話をさせてもらったが、やはり山を持つという事に関してネガティブなイメージを持たれている方がほとんどだった。そして、全国的に…

今回は愚痴です。いつも以上に内容が薄いですが悪しからず。

補助金は収入保証のためにある制度ではない。しかし、そう捉えてしまっている人は多くいると思う。森林整備をするために補助金をもらうのではなく、補助金のために森林整備をしている。 しかし、私もその一人なのだなと気付く。 補助金制度について調べ、ど…

挨拶、感謝、笑顔

一番大変だったタワーヤーダの研修 11月に3年間を通して受講する研修が終了した(皆さん知ってる緑色のやつです)。 3年間、毎年顔を合わせ、一緒に研修を受け、技術を学び、議論をし、グループワークを行ってきた。そして改めて研修を終えて思ったことは、こ…

林業ってどんな仕事?~大学で学んだコトがどう活かされる?~その2(後半)

さて、前回は林業という仕事を3つに分解して、どのようにビジネスとして回っているのかについて話していきました。 そして唯一の収入源である木材の売上の他に、補助金制度の活用と併せて、林業サービス業という需要が高まっているという話をしました。 今回…

林業ってどんな仕事?~大学で学んだコトがどう活かされる?~ その2(前半)

林業ってどんな仕事?シリーズその2です。 その2はちょっと長くなってしまったので、2つに分けまーす。 ではどうぞ。 その1はこちら↓ kigakirenaikikori.hatenablog.jp 林業職を分解してみよう。その仕事はどうやって回っている? 私が大学生の時、林業…

林業ってどんな仕事?~大学で学んだコトがどう活かされる?~ その1

9月に大学2年生向けに「林業とういう職業について話をして欲しい」と声を掛けていただき、母校の大学に行ってきました。 まだ林業界に携わって5年目の私ですが、出来る限りのことを伝えてきました。 さて今回はその発表した内容を3回に渡って紹介したいと思…

2018森林・林業・環境機械展示実演会 メモ

今年は東京ということで、新潟からもアクセスもしやすかったので1泊2日で行ってきました。 【感想メモ】 〇 バイオ向けの機械(チッパー、チップ用ダンプトラックなど)が多かった 国内外含め参入メーカーが多かった とにかくデカい ゴミ収集車みたいなチッパ…

林業の技能作業者さん達、もっと強気にいっていいんじゃない?

新潟県内の林業事業体の技能作業員が集まる研修に参加してきました。このような研修の中で自分の会社・事業体の課題問題点を挙げて改善策を見つけましょうというグループワーキングがよくあります。大体上がってくるのは、給料が安い、休みが少ない、やりた…

「にいがた酒の陣」ならぬ「にいがた杉の陣」はできるのか

先月新潟でありました、『にいがた酒の陣2018』に行って来ました。 約90の酒蔵と500種類以上の酒が集結するこのイベント。酒も集まりますが、酒好きも集まり、数千人が一斉に酔いだす光景はいつ見ても圧巻であります。 うまい酒、うまい飯、おもしろい人に出…

やってみるのが一番だけど、やらずにいかに理解するか

今、入っている間伐の現場では、作業道を開設したのですが、今回はそのルートを決める時のことについて。 この作業道というのは、重機で山を削って作っていく、舗装も基本的には行わない簡易的な道になります。ですが、この作業道使って伐った木を出したり、…

また自分の山林に行きたくなる時代にするために

山林も宅地と同じように、その土地やその上に生えている樹木等は誰かしらの所有物であって、その所有者ごとに区切られています。我々樵は、会社で所有している山林を伐るだけでなく、他の人が所有している山林を伐採することがあり、その際はその所有者から…

モノの値段の決まり方、丸太の値段の決まり方

この間、県内で行われた、丸太の競り市に行ってきました。何回か見たことがあったので、お馴染みの光景なのですが、丸太、特にスギの丸太の競りはちょっとおかしなことになっています。そう。市場で行われるスギ丸太の競りは、値段を下げる競りになっている…

教えてもらって覚える、見て覚える、考えて覚える

「俺が入った時は、ほとんど何も教えてもらえなかった。失敗したらゲンコツ食らって、怒鳴られるだけだった。」「見て、考えて覚えるしか無かった。」 会社の飲み会で現場作業員Oさんがこう話してくました。 それを聞いて、こんな風に質問してみました。 「…

本日の1枚

とある山持ちおじいさんの現場。 このお方、自分の持ち山を自分でせっせと管理して、きれいな杉林をつくりだしています。重機を2台、トラックを1台所有し長年にわたり搬出まで行ってきました。個人で重機をもっているのも驚きですが、この方、補助金制度をほ…

林業とは?

私の周りにいる林業の諸先輩方は、今流行りの「低コスト型利用間伐」は林業じゃないと口をそろえて言っています。(ここで言う「低コスト型利用間伐」とはプロセッサーなど機械による造材を行い、木取りもB、C材を中心に機械的作業にし、一現場にかける時間…

日常の生活に溶け込んでいる林業

うちの庭の木をきってくれねか 薪を分けてくれないか しいたけのホダキを分けてくれねか 祭りで使うみこしの材料になる木材はねか 机を作りたいんだがちょうどいい高さの根株材はねか だんごの木(水木)はねか 家畜の床に敷き詰めるおがくづはねか 裏山で伐っ…

1月現代林業の特集を読んで

1月の現代林業では、林業のICT(情報通信技術:information and communication technology)による情報の共有化について特集が組まれていました。技術の進歩により、山林の資源量と木材の生産量そして現場の進捗状況がリアルタイムに取得できるようになって…

とにかく仕事(林業)について書きます。

ブログを開設し、2ヶ月半過ぎようとしています。「何か一つテーマを決めてしっかりした記事を書こう!」と気合を入れたものはいいもの、一向に筆が進みません。 そもそも、文章書くことがド下手な人間が、最初からハードルを設けること自体おこがましい、と…