木が伐れない樵の業務日誌

新潟県村上市にある民間の林業会社に勤めている30代男が林業についてつらつら書いてます。

林業の技能作業者さん達、もっと強気にいっていいんじゃない?

 新潟県内の林業事業体の技能作業員が集まる研修に参加してきました。このような研修の中で自分の会社・事業体の課題問題点を挙げて改善策を見つけましょうというグループワーキングがよくあります。大体上がってくるのは、給料が安い、休みが少ない、やりたい仕事ができずモチベーションが下がる、上司・他の作業員の配置に不満などがあります。そして「この課題は俺たち現場の人間じゃ何もできないよね」で終わるのがお決まりのパターンでした。そこで私は「改善してもらえない組織ならば辞めて、転職もしくは、自分で会社を作ったらいいんじゃない」という意見を発言したところ、「何言ってんのコイツ」的な反応。私にとってこの反応ががとても新鮮で、そして皆さんはこういう選択肢は想定されていないんだという発見でもありました。
 
 来年からは森林管理法も新しくなり、今まで手を付けられなかった森林の整備が進む予定です。それに伴って事業量も増えてくることになり、人手がより足りなくなることが予想されます。そして条件があるにせよ発注業務なので請け負うことのできる事業体の制限が低く様々な事業体が林業に参入しやすい環境になっていくのではないでしょうか。それに伴って新しい林業会社がどんどん出てくるのではと半分希望の予想をしています(もっと競争関係が築ける環境が林業界を良くしていく)。
 
 今回の研修の発言はちょっと極端すぎるのことは承知の上で発言しました。家族や地域のかかわり方からそんな簡単に仕事や生活エリアを変えることは難しいということは理解できます。ですが、言いたかったことは、会社を変える(起業する)という選択肢も持ちつつ今の会社の業務改善に取り組んでみたらどうだということ。話を聞くとやめたら仕事がないから今の会社で我慢しなきゃいけないんだという感じがひしひしと伝わってきます。
 
 会社と社員は対等です。社員は労働力を提供し、その対価として会社は給料を払います。会社は社員がいなければ会社が回せません。そして林業界も人材不足。会社は有能な人材確保に必死です。もしくはこれから必死にならざるを得なくなります。むしろ社員のほうが立場が強くなるのではないでしょうか。
 
 林業技能は特殊でそんな簡単に替えが利くものではありません。そして作業員一人一人が身に着けた技能はその林業会社だけでしか活かせないものではありません。もっと良い環境で同じ仕事ができる会社はあるはずですし、これから増えていくと思います。
 
 林業の技能作業者さん達はもっと視野を広げたスタンスで林業界で生きていってもらいたいなと思いましたし、会社の方は昔の慣習に甘えてないで、労働環境を整えていかないと「山はあるけど伐れない状態」にどんどん近づいてしまう危機感をもっと感じなければいけないと思いました。