林業ってどんな仕事?~大学で学んだコトがどう活かされる?~ その1
9月に大学2年生向けに「林業とういう職業について話をして欲しい」と声を掛けていただき、母校の大学に行ってきました。
まだ林業界に携わって5年目の私ですが、出来る限りのことを伝えてきました。
さて今回はその発表した内容を3回に渡って紹介したいと思います。
内容はこの3つの構成です。
イントロ
人口は約6万人と結構います。というのも市町村が10年前に合併しています。
人口密度50.80人/km2村上市
183.18人/km2新潟県
鮭・酒・茶
お酒は強くアピール。(実はこの2品はお土産で持ってきていたので、後の飲みに参加してくれた人だけがこの美味しさを堪能できるのだった~。)
1、地域ごとの森林を見てみよう
・森林率は全国平均とほぼ同じ
・人工林率は低め
・人工林の樹種はほぼスギ
林学科の学生が授業で耳にタコができるほど聞いている日本の森林面積や森林率。これら日本全体の数値は、比べることによってある地域の森林の特徴が把握できる大切な情報(モノサシ)だったりします。
そしてその違いには何かしらの理由が存在しています。
さて新潟県の人工林はなぜスギしかないのでしょうか?実は日本で2番目に植えられているヒノキはスギの適地では育ちにくいと言われています。
新潟では、ヒノキを植えると「ヒノキ漏脂病」という樹液がダラダラたれて成長低下、材質低下を引き起こす病気に罹ってしまうため、植栽時にヒノキは推奨されませんでした。
「ヒノキ漏脂病」というのはどういう経路で感染するかなど分かっていないことが多いですが、積雪が影響していると言う人もいます。新潟県は積雪の多い地域で植樹された苗は冬季期間雪の下になります。その際幹が傷つけられ雪を経由して菌が感染するというものです。実際新潟でも海沿いの雪が積もらない地域ではヒノキが育っている場所もあります。
次になぜ、人工林率が低いのかという理由ですが、それは人が植えなかったから。ではなぜ植えなかったのか。・・・実は明確な理由はまだ分かっていません。ですが、一つ私が考えている仮説があり、それは地域の「文化」が影響しているのではないかというものです。
新潟県村上市の北部では海水から塩を作る文化がありました。海水を煮立てて作るため、火をおこすために薪が大量にいりました。その薪のことを「塩木(ショッキ)」と呼びます。薪はスギよりもナラなど広葉樹が適しているため、昔から広葉樹の伐採が盛んにおこなわれていました。塩木を伐るので「塩木伐り」と呼ばれました。
この塩木伐りを行った跡地にスギを植えてスギ人工林ができあがってきたのですが、おそらく、この地域には広葉樹の方に価値があると判断した人が多くいたのではないのでしょうか。新潟県全体でみても、製紙ペレット工場やキノコ生産などが盛んで、広葉樹を原料とした産業が築かれている地域でもあります。
まとめ
大学の授業では、日本の全体値・平均値を教わる機会が多くあります。これはモノサシになって、地域毎の特色や良さ・魅力を知るための道具になります。林業・木材産業は地域の気候や文化などによって多様化していて、このモノサシの使いどころは多くあるのではないでしょうか。
講義中に地元の森林についてもモノサシと比較して特色を見てみては?とおススメしたところ、感想文に早速書いてくれた人がいました。恐るべしスマホ世代です。
その1 おわり